Squareがモバイル決済の「黒船」と言われる理由
モバイル決済の決定版として普及が見込まれるのが、アメリカに本社を置くスクエア社のFintechサービス「Square」です。
日本でも先行の類似サービスがある中、後発のSquareがなぜ「黒船」と呼ばれるのか、その特徴を解説します
■Squareとは
Twitterの創業者の1人、ジャック・ドーシーがCEOとなって始めた、スモールビジネスに向けたFintechサービスの一つです。
スマート&コンパクトにクレジットカード決済を導入する仕組みで、具体的には「タブレット端末などに挿し込まれた小さな読み取り端末にカードを通す」だけで決済が完了します。
その手軽さから、発祥地の米国では、カードによる少額決済のスタンダードになりつつあります。
■他サービスとの違いとメリット
クレジットカード決済システムは、大手事業者の高額商品やサービスなどを中心に日本でも浸透しています。そんな中、Squareが注目を集めたのは、従来のカード会社からは審査段階でふるい落とされていた小規模事業者をターゲットとし、少額決済に最適化した仕組みを提供したことからでした。
-導入コストが実質無料
導入に必要なものは、「スマートデバイスとSquare端末」の2つのみです。Square端末は通販やコンビニで幅広く販売されています。端末価格は4980円(ICチップカード対応)ですが、頻繁にキャッシュバックキャンペーンを行っており、多くの機会で、実質無料での導入が可能です。
今までのように、巨大な専用端末や連動型のPOSレジを導入する必要はありません。スマホさえ持っていれば、実質無料でクレジットカード対応体制が整います。
-運用の簡単さ、運用コストの低さ
Squareの運用にかかるコストは、3.25%の決済手数料のみです。それ以外のシステムメンテナンス費用、銀行口座への振込手数料などは一切かかりません。
また、Squareアプリ内には無料で使えるPOS機能が付属しており、売上分析や経営管理に活用できます。
さらに、カード決済完了後、指定した銀行口座に入金がされるまでの時間は最短で「翌営業日」です。事実上、現金決済とほぼ変わらないキャッシュフローが実現します。
■Squareの利用方法
対応体制の構築は5ステップ、カード利用者は2ステップで終わります。
-販売者側
1.通販やコンビニで端末を購入する
2.スマホかタブレットにアプリをインストールする
3.メールアドレスとパスワードでアカウント登録する
4.入金先の銀行口座を登録する
5.商品を登録する
以上で体制構築が完了します。有線ネットワークを繋いだ巨大な端末がカウンターを占領することもありません。
-購入者側
1.アプリ起動した状態で、カードを端末に通す
2.スマホ画面上に指やスタイラスペンなどでサインする
以上で決済が完了します。レシートは電話番号かメールアドレスを入力すれば電子版が発行されます。Squareに対応するプリンタがあれば、レシートの印刷も可能です。
■Squareの注意点
このように、メリットの多いSquareですが、現時点で注意するべきこともあります。
-一括払いのみ
支払い回数は1回のみで、分割払い、ボーナス払い、リボ払いには対応できません。
-JCBカードに非対応
対応しているクレジットカードはVisa、MasterCard、American Expressの3種類。JCBカードは非対応です。
-知名度が低い
日本にも既に、「楽天スマートペイ」「Coiney」など類似のサービスがあります。しかし現時点ではSquareともども、日本における知名度は決して高くはありません。
Squareを初めて見るお客様の中には、「スマホに挿し込まれた端末に自分のクレジットカードを読み取らせる」という行為に警戒心を抱く人もいるでしょう。
■今後の期待
現時点での知名度はイマイチですが、Squareは今後、あらゆるマーケットへの浸透が期待されています。
-小規模事業、C2Cマーケットへの浸透
Squareは前述の通り、安価に導入・運用が可能で、経営やキャッシュフローの改善に直結するシステムです。個人商店にとっては「対応しておいて損はない」ものと言えます。
また、事業者ではない、個人でモノやサービスを販売する人でも、クレジットカードでの販売対応が可能になります。フリーマーケットや骨董市、販売イベントなど、個人の販売者が多く集まる場においても活用が広がるでしょう。
-インバウンドマーケット
特に期待されるのが、訪日外国人観光客への対応です。
日本人は現金払いを好む傾向があります。とくにカードによる少額決済には、あまり馴染みがありません。
しかし国によっては多通貨対応や保安の問題から、自動販売機や個人商店に現金を多く置くことを避け、消費者もあまり現金を持ち歩かない場合があります。
国外の決済事情に合わせることで、オリンピックに向けて増加が見込まれる訪日外国人観光客の需要を逃しません。