GoogleのWaymoが米アリゾナ州で自動運転車の商業タクシーを開始
映画や漫画などで昔から見かける無人の自動運転車は、想像することはできても実際にできるのはかなり未来になるという印象が強い乗り物ではないでしょうか?
ですが実は、Googleから分社したWaymo(ウェイモ)という会社が、アメリカで自動運転車の商業利用を正式にスタートしました。
今回は、すでにスタートしている自動運転車のサービス内容と、Waymoの実績や今後の展開について紹介します。
この記事では以下の3つのことがわかります。
・Googleの自動運転車「Waymo」とは?
・2018年12月にGoogleのWaymoが開始した商業タクシーについて
・2019年に入ったGoogleのWaymoの動向
Googleの自動運転車「Waymo」とは?
「Waymo」とは、Alphabet(Googleの親会社)の傘下で、2016年にGoogleの自動運転車開発部門が分社化してできた自動運転車開発企業です。
2009年からGoogleで開発されてきた自動運転車は、Google Chauffeur(グーグル ショーファー)と呼ばれる人工知能やGoogleの高解像度マップ、GPSなどを利用して車のハンドルやブレーキ、アクセルを無人で操作します。
2018年3月の時点でWaymoの実験走行距離は800万km以上あり、コンピュータ上のシミュレーションでは、なんと約80億kmも走破しています。膨大なテスト走行を経て安全性を高め、技術を進化させてきたことがWaymoの自動運転車の特徴です。
カリフォルニア州車両管理局が2019年2月13日に発表した2018年度の自動運転解除レポートでは、自動運転解除の回数が少なく他社を圧倒して一位という結果も出ました。Waymoの自動運転車は190万km走り、1.1万マイル(約18000km)に一回の自動運転解除があるという結果です。
自動運転解除とは事故を起こす回数ではなく、何かの理由があって自動運転を解除して乗っているテストドライバーが自動車を操作した回数のことです。
2位のGM Cruiseでは約8000kmで一回となっていますので、2位と比較しても二倍以上の差が出ています。日本の企業では日産が5473マイル走って26回(約340kmに一回)という結果で5位になっています。ですが、走行している距離がWaymoとは比較できず、自動運転車の開発ではGoogleのWaymoが頭一つ飛び出している状況です。
2018年の12月には、地域を限定したサービスですが「世界初」の自動運転車商業タクシーを開始しました。
2018年12月にGoogleのWaymoが開始した商業タクシーについて
参考動画:Hello from Waymo (Formerly the Google Self-Driving Car Project)
参照:YOUTUBE
2018年12月5日にWaymoは、自動運転車の商業タクシーサービス「Waymo One」を米国アリゾナ州フェニックスの一部地域で開始しました。利用客から「お金を貰って」自動運転車商業タクシーを提供する正式サービスは、GoogleのWaymoが世界初です。
利用客は専用のスマホアプリにタクシーの乗車位置と目的地を入力することで、Waymoのタクシーを呼びだせます。乗車後は、車内の専用ボタンを押せば自動運転車が発車する仕組みになっています。タクシーの呼び出しは24時間可能で、万が一のことを考え専用スタッフが運転席に同乗しているサービスです。移動にかかる時間と料金などはアプリ上で確認できます。
12月に開始されたサービスでは、フェニックスに住んでいる住人のなかでWaymoの「アーリー・ライダー・プログラム」に事前から参加していた人が対象でした。プログラムに参加することを認められた人だけにアプリをダウンロードするためのリンクが送られる仕組みになっています。参加人数は数百人となっており、利用者の感想を元にサービスを向上させることが目的です。
Waymo商業タクシーの仕様
Waymoの商業タクシーは、クライスラー パシフィカをベースとしており、改造前のミニバンは乗車人数が7名の車両です。自動運転車では運転席と助手席を除き、利用者は大人3人と子供1人までとなっていました。
車に装備されているレーダーやカメラは、360度274m先まで障害物を探知して見分けることが可能です。特に自社開発したLIDARセンサー(Laser Bear Honeycomb)は、3種類分のセンサーを一つでカバーできる性能になっています。光パルスを使って散乱光を測定することでセンサーからゼロ距離の障害物を検知したり、障害物の後ろにある物体も検知できます。
検地した内容や詳細な地図情報を元に運転をコントロールする人工知能も、膨大な走行データを通して運転の安全性を高めています。今回使われたタクシーは、自動運転車の先駆け的な存在と世界が認めている仕様です。
2019年に入ったGoogleのWaymoの動向
Waymoの自動運転車商業タクシーサービスは、現在はアリゾナ州の一部地域で限られた人しか利用できないサービスです。ですが、2019年に入ってWaymoはGoogle PlayでWaymo Oneアプリを公開し利用者の数を増やそうとしているようです。
一部地域だけでしか利用できないのは変わりませんが、「アーリー・ライダー・プログラム」に参加していなかった人もGoogle Playからアプリをダウンロードすることで体験できるチャンスが生まれる可能性があります。
また、Waymoの最高経営責任者John Krafcik(ジョン・クラシク)氏は、カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリアにも試験区域を拡大する予定があると発言しています。
Waymoは現在でも活発に活動しており、2019年の4月23日には自動運転車の生産のため、ミシガン州デトロイトに工場を開設すると発表しました。Waymoは800万ドルの補助金をミシガン州経済開発公社から受けており、商業タクシーサービスを本格的に開始していくと見られています。
また、自動運転車に利用している自社開発したLIDARセンサーを自動運転車以外の産業に限って販売することもすでに決定済みです。Waymoとしては、自社開発のセンサーを他分野で一般化することで世界のスタンダードを作ってしまうと共に、資金を集める目的があるのではないでしょうか。
自動運転車という業界には、世界中の様々な人から関心が集まっています。その中で先駆者Waymoの動向は2019年も目が離せない内容でした。企業の分析家の中には、2030年ごろのWaymoは、数年前の企業価値と比較して数十倍まで膨れ上がるのではと予想している人も存在します。
まとめ
Googleから分社したWaymoの概要と、2018年12月に米国アリゾナ州フェニックスで開始された世界初の自動運転車商業タクシーサービスについて紹介しました。
実は、現在のセンサーには詳細なマップ情報が必要なことや大雨や雪などを障害物と認識してしまう問題があり、世界各地で利用するにはまだまだ性能が足りていません。自動運転車という業界では、トライ&エラーを繰り返しながら正解を見つけていくことが重要で、試行段階はまだまだ続きそうです。
ですが、Waymoが開発している自動運転車はとにかくテスト走行距離が多く、性能も他社を圧倒している業界のトップといえる製品です。限定的ではありますが、今回フェニックスで行われた正式な「商業サービス」は、自動運転車の歴史となる出来事です。
私たちが自動運転車を利用する時代も確実に迫っていることを印象づけられた出来事となっていました。
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