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商品価格は生産コストで決めてはいけない

商品やサービスの価格をどう決めるかは、品質面、製品の市場におけるポジショニング、そして発売後の商品の売上にかかわる非常に重要な課題となります。

商品価格の決め方は、まず商品開発から販売までのコストを試算し、その金額に利益額を上乗せして決めるというものが一般的です。

しかし、コスト自体は、商品やサービスを購入するユーザーにとっては考えなくて良い物ですし、コストが商品価値の評価につながるものではありません。

 

本来どのように決めるべきか

結論から言うと、価格は、商品やサービスの価格は製品自体に対する相対的な評価をもとに決定すべきです

Aという商品に対する需要がどれくらいあって、その需要を満たす競合商品がどれくらいあるのか。

相対的に見てそれらの商品との相対的品質評価から、価格のレンジを決め、その中で最大の利益率もしくは売上を確保できる価格を決めるべきです。

つまり、取引相手となるユーザー、そしてライバル関係にある商品を見て、戦略的に価格を設定していくというわけです。

このような市場ニーズや競合企業など、今ある外的要因の影響力を踏まえて価格設定を行う方法を競合基準法と呼びます。

この方法は細かく分けると市場価格に合わせて設定する方法…1、業界シェアが高い企業の設定価格に合わせて設定する方法…2、定着している慣習価格に基づいて設定する方法…3があります。

  • 1では、すでにある商品やサービスと同じか、それに近い商品を選び、価格を決めるやり方です。リサーチなどにかかる時間が少なくありますが、取りあえず価格を決めておく感が強く、戦略性に掛けます。価格が同じであれば、あとはクオリティとの比較になり、ユーザーの獲得競争に敗れた場合、価格を下げざるを得なくなります。

→商品やサービスのクオリティが高ければ価格設定は高めに、クオリティが低ければ安く設定する。

 

  • 2は業界でシェアが高く、その企業が価格を変えた場合、他社も追随する影響力を持つ企業を真似る方法です。価格変動に対して柔軟性がある商品であれば、シェアの高い企業の価格設定よりも安く設定すれば販売数が多くなります。しかし逆の場合はプライスリーダーが追随してきた場合に価格競争に飲み込まれ、敗れる可能性が高くなります。

→商品やサービスに差別化要素が少ない、あるいはない場合、プライスリーダーの価格と同じか少し高い金額に設定する。

 

  • 3はいままでその商品やサービスが販売されてきた価格を基準に設定する方法です。カップめんの100円から250円のレンジは最たる例でしょう。消費者に長い間受け入れられている価格以外はリスクが高くなります。

→質の高い物を安く売っても売り上げ数は伸びないため、質の高い物を高く売るのが理想的。

 

生産コストで価格を決めた場合

生産コストが高くついたからと言って、それを価格に上乗せした場合、ユーザーがその価格に見合う商品であると感じれば、高くても売れます。

ただそうしたケースはまれで、やはり類似商品を売る競合の商品が安ければ、ユーザーはそちらの購入を考えるでしょう。

逆に生産コストが安くても、他に類似商品が見られないなどの理由で、市場価値が高い場合があります。その場合は商品価格が高くても購入希望者は多くなるでしょう。生産コストを反映し、安い価格設定をしてしまうと、その分損をします。

生産コストで価格を決める場合、経営的な観点からは利益モデルを設計しやすいメリットがあります。しかし市場、競合、提供する価値が価格に反映されにくいため、ユーザーから見向きもされない価格設定になる可能性があり、注意が必要です。

 

まとめ

商品の価格は、いわば一つのメッセージです。商品の価値をユーザーに伝えるための意味を持ったツールとなります。

ブランドの価値が商品価格の大部分を構成するブランド品や絵画、高級車など、それを持っていることがステータスという価値に変わり、消費者はそうした”見えないもの”にお金を支払うようになります。

生産コストをはるかに超えた商品価格が許されるのは、そのクオリティが固有の価値として認められているからです。高くても買う人はいる。それゆえに商品やサービスの価格は製品自体に対する相対的な評価をもとに決定すべきではないでしょうか。

 

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