CAD利用技術者を目指すならー1級・2級の難易度や合格率、勉強方法をチェック
ものづくりのさまざまな分野で活用されている設計支援ソフトウェアCADに関連する資格は数多く存在し、それらのうちの代表的なものの一つに「CAD利用技術者」があります。CAD利用技術者はどのような位置づけの資格で、合格するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
1.CAD利用技術者という資格の概要とメリット
2.CAD利用技術者試験のための効果的な勉強方法
3.CAD利用技術者試験合格後のステップアップ
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CAD利用技術者試験の概要
CAD利用技術者試験は大きく分けて3次元CADと2次元CADの2つの部門があり、それぞれ試験内容・受験対象者などに大きな違いがあります。
2次元CAD利用技術者試験
2次元CAD利用技術者試験は「基礎」「2級」「1級」という3つのレベルに分けられており、1級にのみ実技試験が含まれています。また、1級試験は「機械」「建築」「トレース」の3つの分野からどの分野を受験するか選択するようになっており、出題内容が大きく異なります。
3次元CAD利用技術者試験
3次元CAD利用技術者試験は「2級」「準1級」「1級」という3つのレベルに分けられており、現在のところ試験は機械分野のみで建築分野の試験は用意されていません。また、3次元CADの実務経験者を対象にした試験となっています。
2級はマークシート方式の筆記試験のみで、準1級と1級は3次元CADソフトを使用して3Dモデルを作成する実技試験が行われます。
CAD利用技術者各試験の合格率
それぞれの試験での直近3回の合格率は下記のようになっています。
・2次元基礎:平成27年度 78.70%、28年度 64.70%、29年度 58.70%
・2次元2級:平成27年度 52.70%、28年度 53.30%、29年度 54.10%
・2次元1級(トレース):平成29年度前期 59.52%、29年度後期73.70%、30年度前期 64.28%
・2次元1級(建築):平成29年度前期 22.41%、29年度 後期60.80%、30年度前期 38.80%
・2次元1級(機械):平成29年度前期 52.53%、29年度 後期60.80%、30年度前期 74.76.%
・3次元2級:平成29年度前期 57.11%、29年度 後期56.30%、30年度前期 35.75%
・3次元準1級:平成29年度前期 46.05%、29年度 後期44.70%、30年度前期 42.14%
・3次元1級:平成29年度前期 42.43%、29年度 後期26.80%、30年度前期 39.71%
「合格率が高い=難易度が低い」ではないので注意!
各試験の過去の合格率を概観すると、CAD利用技術者試験は比較的合格率が高いように思えるかもしれませんが、それは試験の難易度が低いということを意味しているわけではありません。なぜならこの試験の受験者には実務経験者が多く、中には受験者のうち過半数がCADの実務経験者である、という時もあるからです。
独学のみでの合格を目指す場合は、業務でCADを使用している実務経験者のように短時間の試験勉強で簡単に合格できるわけではありませんので、試験の難易度は決して低くないということを理解しておきましょう。
CAD利用技術者という資格のメリット
CAD利用技術者試験の難易度は低くないとはいえ、この資格試験の勉強方法はある程度確立されています。独学のためのガイドブックや過去問題集、数ヶ月で合格を目指せる通信講座など学び方の選択肢が多くあることを考えれば、初心者・未経験者もトライしやすい資格であるといえます。
また、転職マーケットに目を向けてみるとCADの関連する電気・機械関連分野での転職求人倍率(2018年11月時点)は約5倍、建築・土木関連分野では約4倍と高い水準で推移しており、どちらの分野でも広く知られたCAD利用技術者という資格はそれぞれの分野で活躍の足がかりになることを期待できます。
CAD利用技術者試験のための効果的な勉強法は?
まずは勉強に使用するCADを選ぶ
CAD利用技術者試験に向けて学習を始めようとする場合は、学習のために使用するCADの選択から始めると良いでしょう。
2次元CADの場合、AutoCAD、AutoCAD LT、JW_cad for Windowsは問題なく試験で使用できることが確認されていますが、その他のCADを使用したい場合はACSPの公式サイトにある「受験対象CAD判定サービス」から使用可能なソフトかどうか確認することが必要です。
もし学習用のCADの選択に迷うようであれば、無償利用が可能で実務でも広く活用されているJW_cadが良いでしょう。
3次元CAD利用技術者試験ではSOLIDWORKS、Vectorworksシリーズ、CATIA V5などのCADソフトが公式に推奨されており、推奨されていない3次元CADを使用したい場合でも体積・表面積・重心・2点間距離の測定が可能であることなどの条件を満たしていれば実技試験に使用できます。
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独学で学ぶ
2次元CAD利用技術者試験は独学での合格を目指すのも決して不可能ではありません。実技の無い「基礎」「2級」の試験は、CADを学校や職場などで操作したことがあり、ある程度の基礎知識がすでに身についている人であればACSPが公式に発行しているガイドブックや過去問題集を元に勉強するだけで比較的簡単に合格を目指せます。
2次元1級になると実技試験が含まれる上に、筆記試験でも専門知識がもとめられるようになります。機械分野では「幾何公差」「はめあい」「カム機構」などについて、建築分野では建築設計の「モデュール」や「RC造」「矩計図」などの基礎といった専門性の高い知識がなければ合格は困難ですので、関係する実務経験無しの独学のみで合格を目指したいという場合はかなりハードルが高いということを覚えておきましょう。
3次元CAD利用技術者試験の場合、「2級」は筆記試験のみとはいえある程度専門性の高い知識が求められますし、実務経験者を対象にした「準1級」「1級」は実際の設計業務の経験がなければ独学での合格を目指すのは非常に難しいレベルになっています。
有料講座で学ぶ
実務経験なしで合格を目指す、また独学が向いていないと感じている人のためにはCAD利用技術者試験に特化したスクールに通う、通信講座を受講するという選択肢もあります。
CAD利用技術者試験を目指すスクール・講座のおよその相場は
・2次元CAD・2級コースで料金約5万円、受講期間は2ヶ月(週1〜2日受講)
・2次元CAD・1級コースで建築・機械の各部門ともに料金約10万円、受講期間は3ヶ月(週1〜2日受講)
・3次元CADコースは料金約30万円、受講期間は12ヶ月
などとなっています。
就職して学ぶ
CAD利用技術者試験の合格を目指す上で最も効果的な方法は、実際の業務の中でCADの操作を学ぶことです。試験に必要な基本操作・設計の概要・専門用語などを実務の中で習得していれば受験勉強も非常に有利に進められます。
しかしながら、CADに関する求人に「未経験者歓迎」とあっても全くCADを操作したことがなければ就職や転職は難しいのが現状です。まずは独学か有料講座でCAD利用技術者試験2級合格を目指し、その資格を元に関連業種に就職・転職したのち1級試験を目標にするという流れであれば、1級試験の合格も容易になるでしょう。
CAD利用技術者試験に合格したあとのステップアップ
CADはあくまで仕事を進める上での道具の一つであり、CAD利用技術者という資格も道具を使えるという証明の一つの形に過ぎませんし、機械・建築設計などの分野ではCADは半ば「使えて当たり前」というツールでもあります。
資格を取得できたなら、さらなる目標を設定しスキルアップを目指していくことが重要です。
専門分野ごとに使用率の高いCADソフトを習得する
業界ごとに多用されているCADソフトウェアには違いがありますので、自分が活躍したいと思っている業界で特にどのようなソフトが活用されているかを調査し、たとえば
・中小規模の工務店であれば「JW_cad」
・大手ハウスメーカーやゼネコンであれば「AutoCAD」
・インテリア業界では「Vectorworks」
・機械製造分野であれば「Solidworks」
というように狙いを定めてそのCADに特化したスキルを身につけるよう努力すれば、就職や実務でも大いに役立つでしょう。
ツールの習熟と同時に専門知識を深める
CADに深く関係する建築・製造などの分野ではテクノロジーの進化に合わせて、設計や製造の方法に次々と新しい変化が生じています。
2級に合格したら1級、2次元から3次元、といった資格面でのステップアップに加え、自分が取り組もうとしている分野のより深い専門知識や最新の動向などをチェックしていきましょう。きっと資格を活かせる自分のフィールドを見つけることができるはずです。
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