BricsCADでできることと価格について解説
CADやBIMなどの開発ツールが普及すると、関連部門全体で同じデータを活用しながら設計が進められるものの、ライセンス料などの維持費が気になる場合もあるのではないでしょうか。BricsCADは20年以上の歴史があり、AutoCADと互換性があるDWG互換CADです。作図機能はもちろん、3Dモデリングやレンダリングなどの機能も充実しています。
この記事ではBricsCADで使える機能の概要やそれぞれの価格についてご紹介します。費用を抑えながらそれぞれの部門にあったツールを導入したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
BricsCADはDWG互換CAD
BricsCADはベルギーのBricsys社により開発されたCADで、JDrafやIJCAD、DraftSightと並ぶDWG互換CADのひとつです。AutoCADの図面のフォーマットである「.dwg」「.dxf」形式のままデータが保存でき、基本的な作図の仕方や、操作を簡単にするためのコマンドラインなどの操作もAutoCADとほぼ同様です。
また、建設業界で多くみられるJw_cadの「.jww」などのデータ形式や図面の電子納品に使う標準ファイル形式の「.sfc」形式との相互変換ツールを備えているため、部門や客先などさまざまな部門と連携するのにも便利です。主として図面を書くことはないものの、簡単な閲覧やデータの編集を行いたいというライトユーザーにおすすめです。
一方2Dに限らず3Dデータをパラメトリックにモデリングすることも可能で、電気系、建設・土木系、CAEなどのアプリケーションと連携できます。業務範囲や連携すべき情報などを考慮してカスタマイズすることも可能です。
BricsCADでできること
BricsCADには機能の多い順にPlatinum、Pro、Classicという3種類があります。それぞれの機能について詳しくご紹介します。
Classicで使える主な機能
2DCADとしての基本機能を使いたいという場合にはClassicがおすすめです。
・CAD機能
・2D拘束機能
2DCADとして直線や円などの作図機能をはじめ移動、コピーオフセットなどの編集機能、寸法定義、幾何拘束など一般的な機能を備えています。それぞれツールバーやアイコンからコマンドが選択できるため、直観的に操作できます。
・ユーザープロファイル管理
線の種類や寸法引き出し線の書き方、文字の書式、サイズなど基本的なプロファイルが定義でき、必要に応じて使い分けが可能です。
・フルLISPサポート
LISPは簡単な言語でコマンドを定義して使うショートカットのようなもので、AutoCADでは一般的に使われています。LISPを定義すると、完全に手作業の場合は数回の操作が必要な工程を一括で実行できます。例えば、よく使う形状として「半径〇mmの円」などを登録しておくと、定義したコマンドを入力するとその形状を呼び出せます。あとは任意の位置に配置して完成となるため、作業が効率化できます。
BricsCADではこのLISPに完全対応しています。
・クラウドストレージ(Bricsys 24/7)
Bricsys社が提供している建設向けプロジェクト管理プラットフォームである「Bricsys 24/7」との連携が可能です。このプラットフォーム上でデータを管理している場合は、クラウド環境でデータを閲覧したり、注釈やコメントを残したりできます。その際に実際のCADデータをダウンロードしなくてもよいため、閲覧端末にはBricsCADを必ずインストールしておく必要はありません。
h3:Proで使える主な機能
ProはClassicの全機能に加えて3次元データの取り扱いが可能です。またデータ変換機能のオプションがあるため、実際に3次元で設計したい場合や、他CAD、CAEなどとデータ連携させたい場合などに便利です。
・ダイレクトモデリング
3次元の形状を表示させ、形状がもつ設計意図を保持したまま直接形状編集が可能です。
・レンダリング
作成した形状にテクスチャや光源、影などを定義できます。結果は画像データ(.jpeg、.png、.bmp)として保存できるため、カタログやプレゼンテーションなどに活用可能です。
・VBA & BRX
VBAはMicrosoftのプログラミング言語、BRXはMicrosoft Visual C++言語形式のAPIです。カスタムコマンドの定義や処理などを追加することができます。
・BricsCAD Communicator (オプション)
オプションでデータ変換機能を追加することが可能です。取り扱えるデータ形式は以下のとおりです。
書き出し | STE、STP、STEP
IGS、IGES CATIA V4、V5 VDA(VDA-FS) 3D PDF |
読み込み | IGS、IGES
STE、 STP、 STEP IAM、IPT(Inventor) CATIA V4、V5 PARASOLID PAR、PSM(Solid Edge) PRT(NX) ASM PRT(CreoElements/ProEngineer) SLDASM、SLDPRT(Solidworks) VDA(VDA-FS) |
Platinumで使える主な機能
Platinumでは、Classic、Proの全機能に加えてパラメトリックな形状変更や幾何拘束、アセンブリなどに対応しています。詳細な設計を行いたい場合におすすめです。
・3D幾何拘束作成
3D形状に幾何拘束を付与して3次元の部品に設計意図を持たせるほか、形状同士のオフセット量など構成要素間の拘束の定義も可能です。
・設計意図認識
ねじ穴など共通の形状で定義したい部分には同じ形状であるという設計意図の定義が可能です。設計変更の際は1か所を変更するとすべての共通部位が連動して変更されます。
・アセンブリモデリング
アセンブリとは一つひとつの形状を設計意図のなかで組み立てていくことです。寸法拘束や幾何拘束などを組み合わせながら機能形状などの設計ができます。
そのほか、Platinumではオプションで板金デザイン、BIM機能を拡張することが可能です。
BricsCADの価格
BricsCADの価格は以下のとおりです。
BricsCAD®v20
Classic |
BricsCAD®v20
Pro |
BricsCAD®v20
Platinum |
(参考)AutoCAD | |
スタンドアロン/ボリューム | ¥89,700 | ¥123,500 | ¥182,000 | – |
(データは2020年3月25日現在の価格)
BricsCADは基本的にはライセンス形式ですが、ニーズに応じて1年ごとの使用料を支払って使用するサブスクリプション形式で使うことも可能です。サブスクリプション形式の価格は直接お問い合わせくださいとのことです。
また、ライセンスはスタンドアロン、ネットワークライセンスの両方に対応しています。ネットワークライセンスを活用すればBricsCADをインストールしている端末よりも少ない数のライセンスで運用できるかもしれません。
さらに海外出張、海外の子会社など、国をまたいで使用する場合でも追加費用が発生しないため、都度の費用負担を考慮する必要がありません。
BricsCADを購入した場合、サブスクリプションで使用する場合どちらも1年間のAll-In メンテナンスが含まれています。これはメジャーアップグレードや優先的なメールサポートを受けられるものです。単純な買い取り型のCADではなく最新のバージョンが利用しやすいようサポートが受けられる点が導入メリットのひとつとしてあげられます。
まとめ
BricsCADはAutoCADのDWG互換CADであり、2Dのほか3Dデータを扱うことも可能です。AutoCADの機能や操作方法と似た部分が多いため、トレーニングの負担をかけずにツールの移行が可能です。部門ごとに使用する機能を見直すと、場合によってはAutoCADだけで運用するよりもCADの維持費が抑えられるかもしれません。
参考URL
http://www.bj-soft.jp/Bricscad/
http://www.bj-soft.jp/Bricscad/features/#unit-2446
https://www.bricsys.com/ja-jp/247/
https://www.bricsys.com/en-intl/allin/
https://www.bricsys.com/estore/
http://www.bj-soft.jp/Bricscad/
http://ieiri-lab.jp/success/2015/11/bim_by_bricscad.html
https://www.autodesk.co.jp/products/autocad/subscribe
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